研究室紹介
内分泌代謝グループ
サブグループ長 佐藤哲郎 (内線8122, tsato@gunma-u.ac.jp)
グループの特徴
典型的な内分泌疾患ばかりでなく糖尿病や高血圧症、脂質異常症、癌などの生活習慣病の多くは、核内受容体や各種転写因子、神経内分泌ホルモン、イオンチャネルのなどの異常により発症しています。私たちのグループでは、臨床疫学的研究と同時に、これらの分子機構をノックアウトマウスや次世代シークエンサーを用いた最先端の分子生物学的手法を用いて検討し、内分泌疾患に加えて多くの生活習慣病の発症機構の解明を進めています。研究成果は国内外から高く評価され、厚生労働省の「副腎班」、「間脳下垂体班」、「ホルモン受容機構班」、「多発性内分泌腫瘍班」に属し各種ガイドラインの策定も担当しています。
現在の研究テーマ
- 1. バセドウ病クリーゼの疫学的調査と診断法並びに治療指針の策定(厚労省受容機構班)
- 2. 原発性アルドステロン症の疫学的研究と発症機構の解明(厚労省副腎班)
- 3. 中枢性甲状腺機能低下症やTSH産生腫瘍の診断と治療指針の策定と発症機構の解明(厚労省間脳下垂体班)
- 4. 甲状腺ホルモン不応症の診断基準の策定と発症分子機構の解明(厚労省受容機構班)
- 5.多発性内分泌腫瘍症の原因遺伝子であるMENINの作用機構の解明(厚労省多発性内分泌腫瘍班)
- 6.生活習慣病やメタボリック症候群における潜在性甲状腺機能異常の役割に関する研究
- 7. 核内受容体を介する肥満発症機構の解明 など多数。
大学院や留学状況
現在大学院生5名、国外留学(ペンシルバニア大学、ニューヨーク大学)2名、国内留学1名がいます。内分泌代謝学に興味のある研修医や大学院生を募集中です!!
糖尿病グループ
サブグループ長 岡田秀一 (内線8501, okadash@gunma-u.ac.jp)
グループの特徴
我々の研究グループは1999年にグループリーダーの岡田が留学先から帰国してのスタートです。当時のボスであったJeffrey E. Pessin教授(Director, Diabetes Research Center, Departments of Medicine and Molecular Pharmacology, Albert Einstein College of Medicine)とは共同研究も含め現在も交流を深めています。
現在の研究テーマ
[臨床へのアプローチ]
糖尿病診療は新たな検査法や治療法が続々と開発されてきており、患者さんはより良い治療法を選択できるようになってきました。ただその反面、より複雑になってきているため糖尿病専門医の果たす役割は大変大きなものになってきています。私たちは症状の乏しい糖尿病という疾患群を扱う上で、病態とエビデンスにもとづいた治療方針の決定と患者さんが継続可能な治療の両立を模索しなければなりません。そのなかで、糖尿病学を学ぶ事は非常に有意義と思われます。私たちの研究グループでは、糖尿病学を真に理解して、それを患者さんにフィードバックできるような真の糖尿病専門医の育成をしていきたいと考えています。尚、当研究室の半数は女性医師です。糖尿病領域は全人的な対応が要求されるため、様々なライフイベントを経験する事が患者さんへのより良い診療に結びつく可能性があります。その点で女性医師の力が不可欠と考え、グループ全体でサポートを行い、地域医療に貢献できる女性糖尿病専門医の育成にもつとめています。
[研究へのプローチ]
現在の臨床研究テーマ:研究を進める上で、産婦人科医、腎臓内科医、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士などの他職種と密に連携をとっています。
<耐糖能異常と妊娠>
1. 妊娠糖尿病時のインスリン治療と母体、児に対する影響に対する検討
2. 出産後の糖尿病リスクに妊娠糖尿病中の体重増加が影響するか?
3. 妊娠糖尿病時のADRR(新たな血糖変動指数)が児や母体の予後に影響するか?
<耐糖能異常と癌>
4. GLP1製剤の前立腺癌治療に対する効果の検討
<糖尿病性腎症>
5. 透析予防相談の腎症進展予防に対する効果に関して
<1型糖尿病>
6. CGM(24時間血糖持続モニター)を用いた1型糖尿病の血糖変動、カーボカーボカウント法導入の効果の検討
7. CSII(インスリンポンプ療法)を用いている糖尿病患者の必要基礎インスリンの傾向に対する研究
現在の基礎研究テーマ:特許取得を目指せたり、患者さんにfeed back可能であったりする研究テーマを特に意識しています。
<インスリン抵抗性関連>
1. 脂肪細胞において糖尿病状態でその発現が上がり、インスリン抵抗性に関与する新たな分子の同定と機能解析、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド (glucose-dependent insulinotropic polypeptide, GIP)の膵外作用への展開。
2. 骨格筋におけるブドウ糖取り込み機構の解析、創薬の基盤研究。
3. 生体内のエネルギー調節のマスター蛋白であるAMPキナーゼを直接リン酸化し、インスリン抵抗性・糖尿病の発症に関与するチロシンキナーゼFynの解析。
<癌関連>
4. フロリジン誘導体の抗癌剤への展開。
5. 熱ショック蛋白27に拮抗するペプチドと抗癌剤への展開(特許出願中)。
<糖尿病性腎症関連>
6. 新規糖尿病治療薬SGLT2阻害薬の糖尿病性腎症に対する小胞体ストレスを介した効果に対する研究。
7. 糖尿病性腎症においてオートファジーを調節してその発症に関与する新たなタンパク質の同定、解析。
大学院や留学状況
現在大学院生は2名です。研究プロジェクトは豊富ですので新たな大学院生の受け入れは随時可能です。3年での卒業も可能です(実績有り)。留学生は現在いません。大学のスタッフは留学を経験し、現在でもアルバートアインシュタイン医科大学やペニントンバイオメディカルサイエンスセンターとは連携を取っている状態ですから留学先には困りません。希望者からの連絡を待っています。最新の糖尿病治療や糖尿病学を楽しく学びたいと思っている方、大歓迎です。
呼吸器・免疫アレルギーグループ
サブグループ長 久田剛志 (内線8123, hisadat@gunma-u.ac.jp)
サブグループの特徴
喘息病態研究には、先輩医師から引き継いだ永い輝かしい歴史があります。現在、免疫学の基礎的知見・手法を用いて、主に細胞表面の受容体及びそれにより活性化される細胞内シグナル伝達機構を解析するとともに、マウスの呼吸器疾患モデル(気管支喘息モデルや肺線維症モデルなど)を用いた研究を行うことにより、呼吸器・アレルギー疾患の病態解明や新しい治療法の開発を行っています。当グループの出身である群馬大学大学院保健学研究科 土橋邦生教授、福井大学医学部病態制御医学講座内科学(3)石塚全教授とも共同研究をしています。国内の疾患ガイドライン(喘息予防・管理ガイドライン2015、職業性アレルギー疾患診療ガイドライン2013など)の執筆にも参加しています。
現在の研究テーマ
- 1. 喘息 特に難治性喘息の病態解明
- 遺伝子改変マウスを用いたプロトン感受性GPCRの関与に関する研究
- 炎症制御に作用する炎症収束性脂質メディエーターの関与についての研究
- 喘息病態におよぼすマスト細胞の機能解析
- 気道平滑筋の収縮メカニズムに関する分子生物学的研究
- 2. アスベスト関連肺疾患におけるDNA損傷についての研究
- 3. COPDの急性増悪に関するリスク因子の検討
- 4. BLM誘発性肺線維症モデルマウスを用いた疾患制御因子の探索
- 5. 難治性呼吸器感染症に対する治療戦略の探索研究
大学院や留学状況
現在、大学院生2名、学内(生体調節研究所)留学1名、国外留学(コロムビア大学)1名がいます。難治性の呼吸器・アレルギー疾患に対する病態解明、治療法の開発に向けてともに歩んでいきましょう!若い力を募集しています。
肺癌グループ
サブグループ長 砂長則明 (内線8123, nsunaga@gunma-u.ac.jp)
サブグループの特徴
実臨床では、肺癌の分子生物学や薬効試験、病理診断、分子イメージングを含む画像診断、超音波気管支鏡を含む気管支鏡検査の手技、抗癌剤治療や緩和ケアのマネージメントなど、肺癌を専門とした腫瘍内科医になるために必要な知識や技能を学ぶことができます。研究面では、肺癌の分子生物学に関する基礎研究や、新たな化学療法レジメン開発のための臨床試験、臨床試験での腫瘍・血清検体を用いた基礎と臨床との橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)を行っています。治験や全国的な臨床試験グループの臨床試験へも積極的に参加しています。
現在の研究テーマ
- 1. 進行肺癌患者に対する新たな多剤併用化学療法及び化学放射線療法の臨床研究
- 2. EGFR変異肺癌におけるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性メカニズムの研究
- 3. 肺癌においてKRAS変異により制御される遺伝子の探索と、同定されたKRAS変異関連遺伝子を標的とした分子標的治療法の開発
- 4. KRAS変異関連遺伝子エピレグリン、インターロイキン8の予後マーカー及び治療標的分子としての意義
- 5. アバスチン®の治療効果を予測するバイオマーカーの探索
- 6. 肺癌診断や治療モニタリングにおけるFDG-PET及びFAMT-PET検査の有用性
- 7. アミノ酸トランスポーターLAT1の予後マーカー及び治療標的分子としての意義
大学院や留学状況
国立がんセンター研究所病理部・薬効試験部・生物学部(10名)、国立がんセンター東病院(1名)、愛知がんセンター研究所(1名)、静岡がんセンター(2名)、癌研有明病院(1名)、米国テキサス大学サウスウエスタンメディカルセンター(2名)など、国内や海外へ継続的に留学しています。過去10年間に夜間大学院生3名含む6名の大学院生が4年以内に卒業して学位を取得し、この内5名の大学院生は群馬大学内での研究成果によるものです。学位を取得後に留学するメンバーも多く、医師のキャリアの中の様々なタイミングで留学をしています。最近では肺癌の分子標的治療薬が次々に開発されていますが、その治療効果や副作用を予測するバイオマーカー研究など、薬剤をより安全かつ効果的に使用する方法を開発するのは臨床現場にいる我々医師の役割でもあります。肺癌のトランスレーショナルリサーチに興味がある方は、是非ご連絡下さい。
上部消化管グループ
サブグループ長 草野元康 診療教授 (内線8137, mkusano@showa.gunma-u.ac.jp)
サブグループの特徴
消化管(特に上部消化管)を中心とした器質的疾患および機能的疾患の病態生理及び新たな病態因子を解明する研究を行うことで、それらの疾患の診断と治療に役立てることを目的とした、臨床に直結した研究グループです。
現在の研究テーマ
- 1. 高解像度内圧検査と咽頭・食道内インピーダンス・pHモニタリング併用による機能性食道疾患の病態解明(平成25年度臨床研究中核病院整備事業臨床開発シーズテーマ)
- 2. 手術不能かつ内視鏡的切除困難な胃癌に対するタラポルフィンナトリウムおよび半導体レーザーを用いた光線力学的療法の有効性と安全性の検討
- 3. 胃形態と持続的呼気中13CO2濃度測定による胃排出、高解像度胃食道内圧測定による胃食道逆流症および生活習慣病健康指標との関連に関する研究
- 4. 夜間に生じる胃食道逆流の病態生理と睡眠薬の胃食道逆流に与える影響についての検討
- 5. 食道咽頭内pH・インピーダンスモニタリングによるnon-erosive reflux disease (NERD)、GERDと喘息・慢性咳嗽との関連
- 6. 咽喉頭異常感症の病態解明 13C連続呼気テストによる機能性胃腸症の病態解明・治療法の選択
- 7. 13C連続呼気テストによる新規消化管運動改善剤の開発 下部食道括約部圧調節における神経性・液性機序の解明
- 8. 呼気テストを用いたBacterial overgrowthと腹部症状との関連
多施設共同研究
- 1. 本邦で制作されたハイレゾリューションマノメトリーシステムと欧米製ハイレゾリューションマノメトリーシステムとの検査値の比較 PPI治療に対する患者満足度調査及び、不満足患者に対するPPI倍量・分割投与の有用性の検討(switch study)
- 2. ラベプラゾールで効果不十分な逆流性食道炎患者に対するエソメプラゾールの有効性の検討 (CHANGE-R Study)
- 3. ランソプラゾールで効果不十分な逆流性食道炎患者に対するエソメプラゾールの有効性の検討 (CHANGE-L Study)
- 4. 胃腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術後の潰瘍治癒に及ぼすHelicobacter pylori除菌療法の影響に関する検討
- 5. インピーダンス・pHモニタリングによる胃食道逆流の正常値検討試験
大学院や留学状況
大学院生(昼間部)1名 可能な留学先 国内:国立がん研究センター中央病院内視鏡科(胃ESD、大腸ESD) 海外:米国ウィスコンシン医科大学消化器内科(食道運動のメッカ、ミルウォーキー、WI)
胆膵十二指腸グループ
サブグループ長 水出雅文 (内線8137, mmizu@showa.gunma-u.ac.jp)
サブグループの特徴
胆膵疾患に対する診断および治療を中心とした診療に携わり、患者様の治療やQOL向上など臨床に沿った研究が中心となっているグループです。
現在の研究テーマ
- 1. 超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)による診断能向上について
- 2. 閉塞性黄疸症例に対する減黄効果に関する胆管ステント選択の検討
- 3. 総胆管結石切石における内視鏡的乳頭切開術(EST)と内視鏡的乳頭大口径
バルーン拡張術(EPLBD)の治療成績・安全性の比較検討 - 4. 内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)後膵炎の予防・発症因子について
大学院や留学状況
現在、福島県立医科大学会津医療センター消化器内科(教授:入澤篤志先生)へ国内留学1名・北里大学東病院消化器内科(准教授:木田光広先生)へ胆膵内視鏡研修1名。その他、希望者には国内有数の胆膵内視鏡センターへ国内留学を提示可能。
「胆膵内視鏡を極めたい!」という方、臨床症例でスキルを取得しつつ、集積した症例データを基にした臨床研究を一緒にしてみませんか?
大腸グループ
サブグループ長 富澤琢 (内線8137, t-tomizawa@gunma-u.ac.jp)
サブグループの特徴
大腸グループは消化器領域の診療にあたると同時に特に下部消化管(小腸・大腸)を中心とした疾患をより専門としております。扱う疾患として頻度が高いのは潰瘍性大腸炎、クローン病、腫瘍性疾患、腸管ベーチェット、好酸球性胃腸炎、過敏性腸症候群、Lymphocytic colitisなどです。 平成25年度はグループ医師25名が大学病院、第一内科の関連病院で常勤として活躍しております。また、その他に大学院生、育休中等の医師が複数名在籍しております。
現在の主な研究テーマ
(進行中の医師主導臨床試験:大腸グループ単独4本、多施設共同2本)
- ・潰瘍性大腸炎における便中ラクトフェリン測定の有用性
- ・炎症性腸疾患に対し免疫調節薬を使用している患者のB型肝炎ウイルス感染の実態調査
- ・腸管洗浄剤における腸管清浄性(洗浄効果)に関する研究
- ・粘膜治癒をゴールとした軽~中等症潰瘍性大腸炎の治療検討
- ・アダリムマブと免疫調節剤併用中の寛解CD患者における免疫調節剤休薬の検討
- ・活動期及び寛解期潰瘍性大腸炎における経口5ASA製剤の治療に関する実態調査
大学院や留学状況
平成25年7月現在、大学院生は2名で群馬大学衛生学講座、順天堂大学で研究活動に従事しております。過去20年間の当グループの学位取得者は13名です。
平成26年年度は2名の国内留学を予定しております。留学先は本人の希望を尊重し、大腸ESDの手技習得を目的とした国立がんセンター、IBD関連のハイボリュームセンターを予定しております。
大腸・小腸に興味のある方、是非一緒に頑張っていきましょう。
肝臓グループ
サブグループ長 柿崎暁 (内線8127, kakizaki@gunma-u.ac.jp)
サブグループの特徴
第3研究室(消化器・肝臓)の中で、肝臓疾患を専門とするグループです。主な対象疾患は、肝炎・肝硬変・肝臓がん・胃食道静脈瘤・代謝性肝疾患ですが、関連病院では、消化器内科全般の診療に当たっています。従って、内視鏡による診断・治療から、インターベンション治療(肝動脈塞栓術、ラジオ波焼灼術、BRTOなど)まで、幅広く治療技術を習得でき、日本内科学会、日本肝臓学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会等の認定医・専門医・指導医資格の取得が可能です。在籍者は84名(OB含む)おり、県内の主要病院や地域医療で活躍しています。群馬大学附属病院が、群馬県の肝疾患診療連携拠点病院に指定されており、県内18施設の肝疾患専門医療機関すべてに、常勤・非常勤医を派遣しています。
現在の主な研究テーマ
- 1. 遺伝子改変マウスを用いた肝炎症・肝線維化の解明とその抑制
- 2. 細胞増殖因子の肝再生・肝発がん・肝代謝機構への影響
- 3. 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の分子生物学的・臨床病理学的研究
- 4. 肝疾患における自然免疫
- 5. B型・C型慢性肝炎に対する新規治療法の開発
- 6. 肝細胞がんに対する集学的治療(ラジオ波、重粒子線治療など)
- 7. 難治性門脈圧亢進症に対するIVR治療
- 8. 核内受容体による薬物代謝酵素制御機構
- 9. 原発性胆汁性肝硬変の臨床免疫学的研究
大学院や留学状況
今までに17名(社会人大学院6名を含む)が、大学院を卒業し、海外留学経験者も16名います。主な留学先は、アメリカ国立衛生研究所、University of California Irvine, University of Londonなどです。肝臓病の臨床・研究を、楽しみながらやりたいという医学生・研修医は、ご連絡ください。